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第7回 ダイナミクス

フォルテは柔らかく美しく、ピアノははっきりと明確に演奏しよう。

 こんにちは。著作権の仕組みは理解できたでしょうか。 これからの時代はMDやデジタル衛星放送などの普及で著作権を守る事は難しくなってきています。しかし、それが守れなければ困る人間が必ず出ます。そして行く行くは、文化の発展を妨げていってしまうのです。もう一度著作権、知的所有権について考えてみて下さい。
 良い音色で音域は拡がりましたか。一日一回は自分の限界の音域まで挑戦しましょう。限界の音域は一日30秒で十分効果があり、それ以上すると口の周りの筋肉組織が壊れすぎてしまいかえって逆効果なので、限界点の一歩手前の音域を、きれいな音で十分に練習します。1週間で効果が現われます。

トロンボーンのダイナミックス

 トロンボーンはダイナミックスの幅がとても広い楽器です。天使の声と呼ばれるピアニッシモ、ホール中を響かせる輝かしいフォルテッシモなど色々なイメージが拡がります。特にアンサンブル楽器であるトロンボーンは一人で演奏するより2人、3人で演奏すると2倍、3倍ではなく20倍、30倍の響きを造り出しその可能性は大きく拡がります。オーケストラや吹奏楽ではトロンボーンセクションならではの響き、ダイナミックスの幅を楽しみましょう。
 しかし、何もイメージがないと楽しみは半減してしまい、上達もしません。このイメージは毎月書いているので読者の皆さんはもう飽き飽きしていると思います。しかしイメージは一生膨らみ続けるものです。私自身、毎日色々な演奏を聴き(CDや演奏会など)常にイメージを高めるようにしています。今になって思えば、学生の頃はなんと貧弱なイメージを持っていたのかと愕然とします。現在でも新しいイメージを発見し、目から鱗が落ちる思いをしています。
 イメージをつけるためには色々な演奏を聴くことが重要です。
 今回はオーケストラでのトロンボーンの使われ方を楽譜を読み、CDなど聴きながらイメージをつけていきましょう。ところでバンドピープルは吹奏楽関係の本なのに、なぜオーケストラなのでしょうか。それはCDショップに行くとわかります。オーケストラは数多くの演奏団体があり、録音され販売されています。一つの曲だけでも選択の幅がかなりあり、それだけイメージも幅広くなるのです。

ピアノのコラールは天使の声

 ピアノで響かせたトロンボーンの音色はとても柔らかく純粋で天使の声と言われます。 実際オーケストラでトロンボーンを最初に使用したのはベートーヴェンですが、それまではミサ曲など宗教曲で神聖な物として使用されていました1 。ベートーヴェンの交響曲での使われ方でも神の存在を感じられます。
 ブラームスの交響曲1番4楽章冒頭のコラールは天使の声の典型的な例です。セクション3人全員で音色、音程などが決まると最高の響きがします。他の楽譜も参考にして下さい。どれもとても有名な曲なので学校の音楽室の資料に必ずあるはずです。一度聴いてイメージを付けてから音を出しましょう。 
 注意点はピアノだからと言って、誰にも聞こえない小さな音だったり、ささやくように「サー」と雑音が入ってしまったり、「モー」とこもった音では、誰ともブレンドしない音色になり独り善がりの演奏になってしまいます。キャパシティーが二千人位のホールの隅々まで音が静かに浸み込むようなイメージで私は演奏しています。
 ピアノで演奏すると「もそもそ」して何を演奏しているか聞き取りにくくなりがちです。アタックをしっかり突いてはっきり明確に演奏するように心がけましょう。

輝かしい柔らかいフォルテ

 トロンボーンは大きな音が出やすい楽器です。セクション3人だけでオーケストラを簡単に吹き飛ばすだけのパワーをもっています。言い替えれば、最高の効果をもたらすと共に、音楽を壊してしまうという両刃の剣なのです。しっかりコントロールして演奏しましょう。
 ブラームスの交響曲2番の最後の部分のD durの全音符(※)はトロンボーン3本だけのロングトーンでこの曲の一番盛り上がる所です。他の楽譜も参考にして下さい。
 注意点は大きな音とうるさい音と混同しない事です。大きな音を出そうとして力ずくで吹いてしまうと、うるさい非音楽的な雑音になってしまいます。フォルテこそ柔らかく美しく演奏しましょう。ほかの楽器と常に音がブレンドするように意識し、フォルテの時こそ木管楽器を聴きます。
 アタックはほとんど突きません。フォルテでアタックをするとアタックの音だけが強調されてしまい音の出だしに破裂音が入ってしまいます。

ダイナミックスの幅をつける練習

 ピアニッシモからフォルテッシモまで幅広く音量の差を付けることができれば、音楽の表現の幅が拡がります。しかし練習するときに機械的にただ大きな音、小さな音を目指して出していませんか。すると前述したようなブレンドしない音色になってしまいます。いつも音楽を創造する事を考えながら練習しましょう。
 どんな大きな音、小さな音を出すときも、柔らかいきれいな音色にするため唇の細かい振動を意識するようにします。譜例1は唇の振動を捉えるための練習です。
 譜例2はブレスコントロールの練習です。複式呼吸の事はあまり考えず、息を最大限に吸い、吐く事に意識を集中させます。内径2.5cm位のチューブ2 を口にくわえると息が通りやすくなり、息の通り道を確認しやすくなります。楽器で演奏した時もその状態を意識して練習します。
 譜例3はダイナミックスの幅をつける練習です。音程、音色、音の揺れに注意しながらイメージを持って練習しましょう。



今月のおすすめCD

R.ワーグナー 舞台祝祭劇「ニーベルングの指環」
カール・ベーム指揮 バイロイト祝祭管弦楽団(PHILIPS RING-7501~16)
上演するのに4晩かかる壮大なこのオペラの全曲は、日本ではほとんど上演されていない。観たい人はドイツのバイロイトに行かなくてはならない。このCDはそのバイロイト祝祭劇場での1966年と67年のライヴ録音である。ライヴならではの臨場感、特に演奏者達(主に金管楽器)が興奮し、壊れていく様が手に取るように伝わってきて、彼等にとっての「指環」が特別な物であるのがよくわかる。そしてそれらが緊張感を一層盛り上げ情熱を感じられる。いきなり全曲は大変なのでロリン・マゼール指揮 ベルリン・フィル「ニーベルングの指環 管弦楽曲」(TELARC CD-80154)
もいい所取りで、「指環」入門にはお手ごろ。